県政調査でドイツ・オーストリアへ①

2017年4月29日

自民党県議団の政調会として先月の26日から31日まで、県政調査でドイツとオーストリアへ行って来ました。個人的にも初めて行くドイツ・オーストリアでしたが、初日と最終日は移動のみなので、実質4日間で2か国6都市を回るハードな旅となりました。帰国して既に1が月が経過してしまいましたが、ハードで有意義だった視察の内容を報告します。

羽田空港から12時間半かけてドイツのフランクフルト空港へ。国内線に乗り換えてベルリン空港まで約1時間。ホテルにチェックインしたのが現地時間の21:30頃なので初日はまさに移動のみ。機内で映画4本も見てほとんど寝なかったため、7時間の時差はありますがよく眠れました。

視察2日目は、いきなり今回の視察の大本命「ティアハイム・ベルリン」を見学しました。ここは日本で言う動物保護センターです。「犬・猫の殺処分ゼロ」を宣言した神奈川県が県民からの寄付やふるさと納税を使って建設を目指す動物保護センターの参考のため調査に訪れました。

東京ドーム4個分の広大な敷地には、犬・猫だけでなく羊から亀まで多種多様な生物が保護されており、1500匹の動物に対し、150人のスタッフ・8人の獣医師が対応しています。こんな大規模な施設ですから、年間の管理・運営費は890万ユーロ(約10億円)なのですが、そのほとんどが公費ではなく、企業や個人からの寄付金や遺産相続・市民が入場するための年会費(1000円程度)で賄われているというから驚きです。欧米と日本の寄付文化の違いを改めて感じました。しかし、こうした自然豊かな敷地内でペットを求める人と、飼い主を失ったペットのマッチングが行われている状況は理想的であり、たいへん参考になりました。今神奈川県では、ボランティアや獣医師にしわ寄せがいく状況があり、これを改善するためのヒントが「ティアハイム・ベルリン」には隠されていると思います。

午後は同じベルリン市内の「ドイツ連邦政治教育センター」で、現在ドイツにおいて高校生たちに歴史認識や主権者教育がどのように実践されているのか調査しました。講師に大学教授やジャーナリストを起用して授業をしているところが画期的でした。その後は、次の目的地であるライプチヒまでバスで2時間半ほどかけて移動。ホテル到着は21時近くになりました。

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施設入口で同期の市川県議と
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敷地内の案内サイン ←猫ゾーン 犬ゾーン→
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ネコちゃんもワンちゃんも個室住まいです

 

3日目は、ライプチヒ郊外の「クラインガルテン博物館」からスタート。クラインガルテンはライプチヒが発祥の地で、200年の歴史がある市民農園です。日本では、長野県がこの方式を積極的に取り入れ既に実績をあげており、私も昨年の夏に政調会として松本市の取組を視察した経緯があります。日本におけるクラインガルテンは、耕作放棄地対策や農村地域の活性化が目的ですが、本家ドイツでは少し意味合いが違うようです。ドイツでは産業革命以降、都市部の緑地が減少したことを考慮し、町中に公園や農地を増やし市民生活にゆとりや癒しを取り戻すことがキッカケで始まった事業で、現在は若い家族連れの利用が増えて、都市部では増加傾向にあるとのことでした。

しかし、何と言ってもこの日のトピックスは、われわれ調査団がライプチヒの地元新聞社から取材を受けたということです!翌日の紙面には、私たちの写真がカラーで大きく掲載されました。日本の県会議員が、わざわざクラインガルテンの調査にドイツまで来るのが珍しかったのでしょうが、正直チョット自慢したくなる出来事ですよね?

その後は、ヨーロッパ特有のアウトバーンをかっ飛ばして(バスですが…)ミュンヘンへ。この日は最終的に、国境を越えてオーストリアのザルツブルグまで向かうので大移動となります。約600キロの移動距離(約東京―大阪間)があるので、昼食もサービスエリアで済ませる慌ただしさでした。

ミュンヘンでは、「Brothers of St. John of God病院」を視察しました。カトリック修道会が運営するドイツ最大規模の緩和ケア病院で、ホスピスも併設しています。目の前には大きなお城がそびえたち、病院自体も歴史的建造物を利用している素晴らしいロケーションの病院でした。特に緩和ケアには高い実績があり、患者の約50%は社会復帰するまで回復しているとのこと。近年は在宅ケアのケースが増加しており、神奈川県でも取り組んでいる「地域包括ケアシステム」のドイツ版は進んでいるようです。しかし一方で看護師の不足など課題もあり、国は違えども越えなければいけないハードルの高さは一緒のようです。

本場ミュンヘンでビールが飲めなかったので、後ろ髪を引かれながらもドイツとはお別れし、私たちはオーストリアのザルツブルグへ向かいます。結局この日もホテルに着いたのは21時過ぎ。ホテルのレストランにわれわれ以外のお客様は見当たりません…。なんだか寂しいザルツブルグの夕食でした。

既にだいぶ長くなりました。今回の視察を一回で報告するとかなり長文になりますので、オーストリアに入ってからの視察内容は、後日第2弾でご報告いたします。

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クラインガルテンではこんなかわいい小屋で生活します
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これが地元紙の紙面。後日送って頂きました!
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ドクターと記念撮影。