2023年11月 活動報告①

2023年12月22日

一度投稿のタイミングが遅れると、なかなか元に戻らないですね(汗)。先月に続き、今月も活動報告をアップする時期がだいぶ遅くなってしまいました。申し訳ありません。年明けからは、月の頭に前月の報告ができるよう頑張ります。

さて、11月は後半になるまで議会はお休みです。コロナ前は、11月上旬~中旬が8月に次ぐ「視察月間」となるのですが、コロナ禍においては当然の事ながら、しばらくの間海外は勿論のこと、国内の視察(出張)も自粛状態でした。昨年の11月に、常任委員会の県外視察が復活するまで、丸2年間は公務で神奈川県内を出ることはありませんでした。しかし、新型コロナが5類に移行して以降、世の中の流れと共に我々議員の視察も通常に戻りつつあります。そこで今回の報告は、11月に実施した二つの視察について、内容が盛り沢山なので2回に分けて報告したいと思います。今年は各メディアで、国会議員等の海外視察が批判を受ける報道が目立ちましたが、正直申し上げれば一部偏った報道の仕方もあったと感じています。ちゃんと説明をすれば、議員の視察も意味がある活動だと納得していただけるものであり、そういった意味も込めて報告したいと思います。

まず最初は、11/5~10の日程で4年振りの海外視察となったベトナムとカンボジアの視察を報告します。自民党県議団「国際協力議員の会」は、海外(アジア中心)で頑張っている神奈川に所縁のある日本人を応援しよう、あるいは日本で仕事や勉強をして活躍したいと願っているアジアの若者を応援しよう、という趣旨で発足した有志の議員連盟、いわゆる「議連」です。過去にはフィリピンのボホール島で、障がい者施設を立ち上げた横浜出身の女性を応援し、衣料品・食料品・サッカーボール等を届けに行きました。彼女とその施設とは、今でも物資を送ったり、お手紙を頂いたりと交流があります。そんな「国際協力議員の会」の今回の海外視察の主たる訪問先はカンボジアでしたが、現在は直行便が無いとのことでベトナム経由で向かうこととなり、最終的に神奈川県と友好な関係にあるこの2国を訪問することにしました。

最初に訪問したベトナムのハノイ市は、過去3回「神奈川フェスティバルinハノイ」が開催されたり、ハノイ郊外にある「神奈川インダストリアルパーク」では、これまで24社の県内企業が進出しています。まず、JICAハノイ事務所でブリーフィングの後、「日越科学技術国際連携センター(VJIC)」を視察しました。VJICはル・クイドン工科大学の中に今年3月に設立されたばかりで、日本の技術系の大学と共同研究を進め両国の技術交流をサポートしています。センター長のグエン・クオック・ディン准教授は、日本の防衛大学などで学び、日本に対する理解・見識が高く、日本の技術を母国に浸透させることへの強い情熱を感じました。次に訪れたのは「日越人材開発インスティテュート(VJCC)」。解りやすく言えば、国際人材育成機関ということになります。中でも2002年に設立された「日本人材開発センター」は、日本政府の支援でアジア諸国9か国10都市にあり、ベトナムはハノイとホーチミンの2ヵ所に設置された唯一の国とか。日本へのリスペクトが感じられます。同センターでは、ビジネス研修はもとより日本語教育も行われ、日本企業とのネットワークも構築されています。既に17期の卒業生が両国間のビジネスシーンで活躍中。当日は、日本企業による就職相談ブースが出展しているイベント会場も見学し、在学中の18期生と意見交換(もちろん通訳付き)もできました。研修生たちの親日感情はとても高いと感じた一方で、円安などの影響もあり待遇面や環境面で日本で就職することには魅力を感じない、との意見が多くあったのも事実です。一昔前は考えられない事です。少しショックでしたが、こうした意見はまさに現地でこそ聞ける話であり、やはりこちらから出向いていく価値はあったと思いました。今や人手不足・人材不足に悩む日本企業は多く、海外人材・労働力の確保は重要なテーマです。こうした状況にありながらも、親日家のベトナム人でさえ日本て働くことに魅力を感じないという実態…。今後の日本経済にとって、大きな課題が突き付けられたベトナム視察でした。

次に目指したのは、カンボジアのシュムリアップ。ハノイから1時間半ほどのフライトでした。シュムリアップは、かの有名な世界遺産「アンコールワット」がある街です。もちろん目的地は「アンコールワット」。とは言っても、観光が目的ではありません!ではなぜアンコールワットなのか?「国際協力議員の会」が発足したのは約25年前。アンコールワットは厳しい自然環境などの影響で劣化が進んでいましたが、残念ながら当時のカンボジアは遺跡の修復等の知識や技術を持った人材に乏しく、世界各国に向け修復作業を依頼していた時代背景があったと聞きます。こうした状況の中、日本の上智大学のチームが劣化が進むアンコールワットの修復作業に乗り出したことを、当時「国際協力議員の会」の会長だった私の叔父である新堀典彦は知りました。これこそ日本の高い技術を世界にアピールする絶好の機会と感じた叔父は、「国際協力議員の会」として何かお手伝いが出来ないかと考えたようです。自ら上智大学に働きかけ、現地で作業する大学生の支援に加え、いつまでも海外に依存してはいけないとカンボジア人を研修生として神奈川県に招き、知識や技術を習得するためのお手伝いをしたようです。こうした歴史のある神奈川県とアンコールワットに、今年11月に一つの節目が訪れました。日本チームが担当した遺跡の表玄関と言える「西参道」の修復工事が25年の歳月を経て完成したのです。当時から作業に関わっていた上智大学の三輪教授から「是非、見に来てに来て欲しい」とのお話もあり、今回の視察が実現しました。もちろん、修復作業の全て終了したわけではなく、早稲田大学チームによる「バイヨン寺院」の補修作業などはまだまだ道半ば。日本チームの作業はこれからも延々と続きます。私たちは二日間にわたり広大な敷地内での作業現場を視察し、これまでの経緯やこれからの課題についてお話を伺いました。また三輪教授の計らいで、当時作業に参加した研修生の皆さんとの交流の場も設けていただきました。現在は日本の文科省に当たる政府機関で働くソックニーさんは、研修で神奈川に訪れた際、叔父に大変お世話になったと、懐かしそうに当時の思い出を語ってくれました。今は亡き叔父と撮った写真を見せていただき、恥ずかしながら涙腺が緩んでしまう事態となったのを覚えています。国際協力の名のもとに日本が誇る技術を伝承し、今現在でもカンボジアの人たちと太い絆で繋がれたことに感動し、多くのことを学びました。そして、同じ日本人がカンボジアで奮闘していることを、もっと多くの人に知ってもらいたいとも感じました。

その他では、遺跡にほど近いホテルの中に事務所を構える日本領事館シュムリアップ事務所を表敬訪問し、コロナが落ち着いたカンボジアの観光の状況や、日本とカンボジアの国交の歴史、現地での日本人の活動など伺いました。その後は、実際に現地で活躍している日本人の方々に直接お会いしてお話を聞くことに。19歳で日本を離れカンボジアで胡椒を栽培・販売して好評を得て、日本へ輸出も行い大成功を収めた26歳の若き経営者や、青年海外協力隊として主に小学校などの教育現場で教育カリキュラムの普及や人材育成に従事している方々との意見交換を行いました。その中の一人はなんと前職が横浜市教育委員会で、私の地元「日枝小学校」で数年前まで教鞭を振るっていたとの事。世界は狭い!そして異国の地で子どもたちにために日々全力で働いている皆さんに頭が下がる想いでした。「国際協力議員の会」は、視察先で青年海外協力隊の方と意見交換をすることが恒例となっていますが、その度に自分には無理だなあ…とつくづく感じます。途上国の教育現場は、こうした協力隊の力で支えられている部分も大きいのではないでしょうか。自分が直接何もできない分、これからも海外で頑張る日本人を応援していきたいと思いました。あっ!言い忘れましたが、前述したペッパーソムリエの木下澪那さんの胡椒、本当に美味しかったです。粉末状の調味料の胡椒はもちろんですが、胡椒の実をそのまま食べる「ペッパーキャビア」が気に入りました。お土産で買ってきて自宅の食事でサラダなどに振りかけて食べてます。あと、お店で食べた「胡椒アイスクリーム」も絶品でしたよ。カンボジアに旅行する際は、是非お試しください。

    

さて、長くなってしまいましたので、久しぶりの海外視察のご報告はこの辺で終わりにします。近々、11月中旬に実施した、特別委員会の県外視察(熊本・福岡)についてご報告いたします。