2025年8月 活動報告(視察編)
9月に入っても暑い日が続きますね…なんて生優しいものではない酷暑が続いています。かと思えば突然のゲリラ豪雨!本当に変わりやすい気候です。体調には充分お気を付けください。
さて、通常の8月の活動報告の前に常任委員会の県外調査(視察)のご報告をさせていただきます。今年度、私は産業労働常任委員会の委員長を務めています。以前にも話したかと思いますが、常任委員会の視察先は委員長が決めることが慣例になっています。これを面倒だと思う方もいらっしゃるようですが、自分は好きです。議会局・産業労働局の書記さんと相談しながら視察先・ホテル・食事会場などを決めていく作業はなかなか楽しいものですよ。今回は、委員長特権?を使い福島県・宮城県に8/19~21の3日間で行ってきました。これから神奈川県が力を入れる宇宙産業の推進などを中心に、他の自治体が運営する施設や民間の先進的な取り組みを現地で直接見ることは、今後の委員会審議に役立つとともに、将来本県の施策にも生かせる可能性がある大切な公務だと思っています。
初日は東京駅から新幹線で福島駅へ。視察したのは「福島ロボットテストフィールド」です。ご存じの通り神奈川県は「さがみロボット産業特区」の取り組みにより、ロボット産業の支援・発展に力を入れてきました。現在、生活支援型ロボットを中心に、介護の現場などで活躍するロボットを数多く送り出しています。それに対して「福島ロボットテストフィールド」では、災害時に人に代わって活躍するロボット等の実証の場として、多くの企業に施設を提供していました。東日本大震災と原発事故により失われた南相馬市の浜通り地区に、新たな産業基盤を創出する国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」の一環として誕生した同施設は、広大な敷地を有効活用して陸・海・空の様々な災害を想定したロボット・ドローンの実証実験を通じて災害対策に取り組んでいます。能登半島の地震で明らかになった、被災地でのロボットの有効性をさらに推進していく。水没した市街地やトンネル内を想定したドローンフィールドは、今後の可能性を感じました。神奈川県内でこの大規模な施設を新たに整備することは難しいでしょうが、福島県と本県ロボット特区が連携して、今後注目される災害対策用ロボットの開発を進めていくこともアリではないかな、と思いました。
二日目の午前中は、宿泊した仙台市内から借上げバスで1時間ほど移動し、宮城県角田市のJAXA「角田宇宙センター」を視察。神奈川県は今年度から宇宙関連産業クラスターの形成強化に取り組んでいます。令和7年度の当初予算で、人気キャラクター「宇宙なんちゃらこてつくん」をアンバサダーに任命したり、来年2月に「神奈川宇宙サミット」の開催を予定したりと、県内の宇宙産業の推進・支援策を計上し、積極的に取組み始めたところです。視察先の角田宇宙センターでは、富岡定毅所長による、ロケットエンジン開発についての熱のこもった説明がありました。過去に開発した歴代のロケットに対し「この子はですね…」とまるで我が子を自慢する親のような口調はまさに『ロケット愛』に溢れていました。こういう技術者の方々の情熱が、技術の進歩を支えているのだと改めて認識させられます。また令和8年度からは、民間企業等が液体ロケットエンジンの研究・開発に新規参入する際のリスクを軽減するため、企業・大学・研究機関をワンストップで支える取り組みをスタートさせるとのことで、施設は現在建設中でした。宇宙産業は、今後ますます盛り上がりを見せるかもしれませんね。今、神奈川県は日産自動車の再生問題に揺れています。令和9年度末には、日産の追浜工場は閉鎖が決定している中、サプライチェーンを中心に地元経済が大きな打撃を受けることは間違いありません。黒岩知事をはじめ横浜・横須賀の市長は、経産省・厚労省に支援の依頼を行いました。国は支援の実行を約束してくれましたが、倒産や失業を極力抑え、追浜に新たな産業を創設することは我々議会にとっても最重要課題となります。これまで自動車のエンジン開発等で培われた技術力は、無限の可能性がある宇宙産業に活かせるかもしれません。例えば、日産が去った後の追浜に宇宙産業の新たな拠点を創設するなんてことも、今後アイデアの一つだと思っています。様々な想像が膨らむ視察となりました。
午後はバスで仙台市内に戻り、(株)新陽ランドリーを視察しました。同社は寝具やユニフォーム等のクリーニングを業務の中心としており、障害者雇用に大変積極的です。現在では、全従業員47名中26名が障がい者で、障害者雇用率は驚異の67.4%!来年度から民間企業における法定雇用率が2.7%に引き上げられる状況に苦労されている企業が多い中、これはまさに驚きの数字だと言えます。また、多くの障がい者が終身雇用されているというのも特徴的で、工場と隣接した敷地内に寮や関連企業が運営するグループホームが整備され、生活面で支援員によるサポートが充実している点も好影響を与えていると感じました。こうした実績が認められ、令和6年度には厚生労働大臣賞を受賞した(株)新陽ランドリーさん。加藤幹夫会長のお人柄のせいか、蒸し暑い工場の中で働く障がい者の方々の表情も明るく、楽しそうに与えられた業務をこなしている姿は、まさに『ともに生きる社会』を実現していました。今回の視察では見えない様々な苦労もきっとあると思います。それでも障害者雇用に積極的に取組む加藤会長のような経営者が、もっともっと増えていくような社会になっていかなければと思います。行政はこうした企業をしっかりと支えていくべきと改めて感じました。
そして、常任委員会の視察もいよいよ最終日。最後の視察先は東洋ワーク(株)です。人材派遣の業務を中心に、宮城県や仙台市とも提携して外国人材の受け入れ支援や、宮城県主催の外国人材の採用・定着支援を進めるイベント「Work in MIYAGI」の運営も行っていました。現在、我が国は深刻な人手不足・人材不足に直面しています。先の参院選で某政党が掲げた「日本人ファースト」の考え方は、大枠で間違ってはいないと個人的には思います。しかし、人手不足が深刻化する中小企業にとって、外国人材の雇用は死活問題にも繋がる重要なテーマです。私はしっかりとしたルールの下、労使が互いに信頼できる環境を維持した上で、外国人材を積極的に活用していくことは、これからの日本には必要不可欠だと思っています。そのうえで、外国人材の雇用に不慣れな中小企業に対して行政が指導・支援を行うことは大切な取り組みです。神奈川県は、黒岩知事の尽力もありベトナムとの友好関係を構築し、ベトナム人材を神奈川に多く受け入れてきました。確かに日本全体でも、外国人労働者の数はダントツの中国人に次いでベトナム人が2位です。親日で勤勉なベトナム人労働者は、日本に定着しやすいとの評価もありました。しかし一昨年視察でベトナムに訪れた際、ベトナムの若者は「日本は物価が高いわりに低賃金で就職先として魅力がない」と話していました。事実、ここ数年のベトナム人の訪日は減少傾向にあります。東洋ワーク(株)の須佐尚康会長は、個性的でお話も上手く、この業界の先駆者でもあり、外国人材の現状について興味深いお話を伺うことが出来ました。会長曰く「ベトナムの時代は終わった。これからはインドネシアに注目したい。」とのこと。この日の前日は、まさに「インドネシア人材みやぎジョブフェア2025」を県から受託し開催した、とのことでもありました。本県はこの数年、ほぼベトナム一本に絞って様々な事業を進めてきましたが、ベトナムの若者の話や須佐会長の話は、今後外国人材の雇用を進める上で参考にするべき事柄だと感じました。アジアを中心に、より広く人材の確保を検討していく時期なのかもしれません。勉強になりました。
駆け足ではありましたが、常任委員会の県外視察について報告させていただきました。3日間で4か所の視察先。少ないのでは?と思われる方もいるかと思いますが、自分は限られた時間の中で多くの視察先を詰め込むより、少数ながらもじっくりと時間をかけて調査する方が有意義だと考えます。今回も委員の皆様からは、概ね「充実した視察でした」と評価していただきました。活動ブログの性質上、どうしても真面目で硬い報告になってしまいますが、もちろんこの間、視察が終わればおいしい牛タンや海産物、ご当地の日本酒などで仙台の夜を堪能しております。食事の後は、国分町で行き当たりばったりで安いスナックを探し、有志でカラオケなんかも楽しみました。初日は年甲斐もなく、〆のラーメンまで付き合いました。翌朝は胃がもたれて大変でしたが…。普段はあまり話さない他会派の議員と、会派を超えてコミュニケーションを図るのもまた視察の醍醐味です。ただ念のため申し上げますが、視察中の飲食・カラオケ等はもちろん自費で払っています。時々、あたかも『税金を使って遊んでいる地方議員の実態!』などと言った心無い報道が見うけられますが、今どき飲食費まで公費で賄っている議会は皆無だと思います。悪意のある報道には、どうか惑わされぬようご注意ください。私としては、こうして微力ながらも議員視察が県政にとって有意義な公務であると、ブログを通じて皆様にお伝えしていきたいと思っております。これからも視察の報告を続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。